特徴1:地域に根ざした脳卒中診療
2007年より脳卒中センターを開設し、現在脳神経外科と脳血管内治療科とが協力して24時間365日脳卒中に対する内科的治療・外科的治療・血管内治療が行える体制になっております。また2017年には中野・杉並地区で初めての脳卒中集中治療室(SCU)を開設いたしました。SCUでは専順のスタッフが持続したモニター監視下で、濃厚な治療と早期からのリハビリテーションを行うことが可能となっています。脳卒中のガイドラインでも、脳卒中罹患後の日常生活動作や生活の質を改善するためにはSCUでの治療が推奨されています。当院の脳卒中センターには脳神経外科学会専門医・指導医3名、脳卒中学会専門医・指導医3名、脳卒中の外科学会技術指導医1名、脳血管内治療学会専門医・指導医2名を擁しており、大学病院に匹敵する高いレベルでの脳卒中医療の提供が可能となっております。また脳卒中の急性期治療のみならず、脳卒中発症予防にも力を入れておりますので、未破裂脳動脈瘤や頚動脈狭窄等を指摘され不安に思われている方はいつでも外来にご相談にいらしてください。
特徴2:大学病院に勝るとも劣らない診療体制
東京警察病院脳神経外科は、中野移転時より良性脳腫瘍のメッカとして良性脳腫瘍の外科的治療を積極的に行なって参りました。多数の手術を行わせていただくことで、術中モニタリングをはじめとした手術を安全に行うシステムが構築されております。また近年では手術の安全性をさらに向上させる目的で、術前に撮像したCTやMRIから脳の3次元画像を作成して手術のシミュレーションに応用することが試み始められています(図1、2)。正常の脳の構造は、個人差はありますが大まかには同じです。しかし、病気がある場合の脳は一つとして同じではないため、手術を安全に行うためには個々の脳構造の違いを正確に把握した上で手術戦略の練ることが非常に重要です。これまでこのような3次元画像を用いた術前シミュレーションは一部の大学病院でしか行うことができませんでしたが、部長の吉野はこれらの3次元画像を用いた手術シミュレーションに精通しておりますので、現在東京警察病院でも大学病院に匹敵するレベルでの3次元画像の作成が可能となっております。具体的にはこれらは脳動脈瘤、脳動静脈奇形などの脳血管障害から、脳腫瘍、また顔面けいれん(顔がピクピク)、三叉神経痛(顔面が痛い)といった疾患まで幅広く活用し、手術の安全性向上に努めています。
図1の解説:図1のように腫瘍によって圧排された運動線維を表示することも可能です。このように運動線維の走行をあらかじめ把握することで、運動線維損傷による手足の麻痺が出現しないように手術を行います。
図2の解説:図2の左の図はMRIから作成した3次元画像です。右図は実際の解剖の写真であり、作成した3次元画像は実際の解剖とほぼ同じであることがわかります。このような正確な3次元画像を用いて術前戦略を練ることで手術の安全性向上に努めています。
東京警察病院脳神経外科が得意とする疾患
当科では脳卒中、脳腫瘍、顔面けいれん、三叉神経痛、正常圧水頭症、脊椎脊髄疾患などの外科治療を積極的に行なっております。具体的な治療法に関しましては、疾患の解説ページをご覧いただけると幸いです。私達脳神経外科医は外科医である以上、高度な外科技術は必須と考え日々研鑽を積んでおりますが、同時に外科技術は治療手段の一つであることも忘れず、謙虚な気持ちで患者さんにとって最良の治療方法を提供できるよう努力しております。脳の病気を指摘され不安に思われている方は、いつでも外来にご相談にいらしてください。